ゆめみさき
【ゆめみさき】
こどものころのぼくは
いえがなくても とおいところまでいけるとおもった
ごはんがなくても おかしがあるとおもった
まつしろなかみに じぶんのこたえをかくのが たのしかった
あそんでつかれて みるゆめがうれしかった
数十年後のぼくに会ってみた
大人のころのぼくは
家がなければ どこにも行けないと知った
ご飯がなければ 飢えると知った
真っ白な問題用紙は
求められた答えがあるのだと知った
心地好かった夢も 醒めるものだと知った
しわしわのぼくに聞いてみた
老いたぼくは
大事なものを守れれば あとはどうにでもなると言った
飯は育て 作るものだと言った
真っ白な問題用紙は
答えを出すものではなく 考えるものだと言った
醒めない夢を話せるのが幸せなんだよと言った
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